精神療法の手法は様々ですが、報酬予測誤差仮説に着目して行うことも可能です。
基本的には報酬系が予測誤差に依存することに着目して、報酬系の活動が低下している場合には比較対象を下げ、逆に亢進している場合には比較対象を上げます。
長時間の精神療法を行う場合、全体としての予測誤差の和はゼロに近くなりますが、「少数の大きな正の誤差と、多数の小さな負の誤差」であれば正の誤差が強調されますし、その逆も成り立ちます。
報酬予測誤差仮説だけでなく、その周辺の学習心理学等の知見を応用すれば、さらに手法の幅が広がります。
例えばブロッキングの知見に基づき、「安易な期待を断つ」ことを行えば、ブロッキングを抑制し、「真にやるべきこと」への関心の移行を促せるかもしれません。
ただし、報酬予測誤差仮説は学習心理学の知見に基づいており、学習心理学は動機づけのような内面への言及は避ける傾向があるため、動機づけに応用するためには別の心理学的・神経科学的知見を援用する必要があります。
最終的な精神療法がどのようなものになるかは、各人の解釈にもよると思いますが、背景にある知識を理解することは無駄ではないでしょう。
そのため、私が考えている精神療法そのものよりも、その背景となった知識について紹介しようと思います。
〈基礎知識〉
〈報酬予測誤差仮説〉
A neural substrate of prediction and reward
Predictive reward signal of dopamine neurons
Dopamine responses comply with basic assumptions of formal learning theory
〈大脳基底核の可塑性〉
A cellular mechanism of reward-related learning
〈phasic and tonic relaease〉
Tonic dopamine: opportunity costs and the control of response vigor
〈incentive salience仮説〉
What is the role of dopamine in reward: hedonic impact, reward learning, or incentive salience?
A computational substrate for incentive salience
From prediction error to incentive salience: mesolimbic computation of reward motivation
〈ADHDの仮説〉
〈統合失調症の仮説〉