電脳ラボ

脳のコンピュータモデルに関する論文のレビューなどを細々と続けていこうと思います。

Dopaminergic modulation of limbic and cortical drive of nucleus accumbens in goal-directed behavior

Yukiori Goto & Anthony A Grace

Nature Neuroscience 8, 805 - 812 (2005) 
Published online: 22 May 2005

 

ドーパミンの効果を、海馬・前頭前野、D1・D2、tonic・phasicに分けて検討。

電気生理だけでなく行動(単純な学習とルール変化への対応)も調べてる。

 

アブスト

•目標指向行動には皮質や辺縁系から側坐核への入力およびDA放出が重要である。

電気生理学的測定にDAシステムの操作を組み合わせることで、我々はtonicとphasicなDA放出が海馬と前頭前野の入力をそれぞれD1依存的、D2依存的に調節していることを示した。

•また我々は、側坐核でのD1の活性化とD2の不活性化が特定の行動(学習とルール変更)に影響を与えることを見出した。

•これらの結果から、側坐核のDA受容体の活性化や不活性化により、DAは動的に辺縁系と皮質のバランスを調節し、目標志向行動を制御していると言える。

 

Graceらの先行研究

VP(腹側淡蒼球)はDAニューロンに抑制性の入力をしており、VPが不活性化するとDAのtonicな放出が増える。(活性化すると減る。)

 

PPTg(脚橋被蓋核)はDAニューロンに興奮性の入力を送っており、PPTgが活性化するとDAのphasicな放出が増える(不活性化すると減る。)

 

電気生理実験の結果

•D1アゴニスト→海馬からの入力が強まる
•D2アゴニスト→ PFCからの入力が弱まる
•D2アンタゴニスト→ PFCからの入力が強まる
•VP活性化(tonic放出低下)→PFCからの入力が強まる

 

•PPTg活性化(phasic放出上昇)→海馬からの入力が強まる

 

行動実験の結果(薬物投与は側坐核)

•海馬不活性化+D1アンタゴニスト→学習低下

 

前頭前野不活性化+D2アゴニスト→柔軟性低下