電脳ラボ

脳のコンピュータモデルに関する論文のレビューなどを細々と続けていこうと思います。

精神疾患・神経疾患等のモデルのまとめ

モデルの特徴と、そのモデルが捉えている疾患の性質を、各精神疾患・神経疾患ごとに列挙。

 

統合失調症

 Hoffman (2011)

RNNベースで物語復唱課題の結果を再現(未読)。

 

〈OCD〉

Rolls (2008)

グルタミン酸系の亢進でアトラクターが強化される。

 

  

自閉症

90年代前半にCohenの研究が。

MLPの中間層の数と学習能力から、自閉症の考察を行っていた。

中間層が多くて過学習する場合と、中間層が少なくて般化できるがフィッティングが悪い場合のどちらが自閉症に近いと言ってたか記憶があやふや。

辞書的な記憶が生成されやすいという自閉症の性質からすると前者か。 

 

 

ADHD

 Cockburn (2010)

Focus on the positive: Computational simulations implicate asymmetrical reward prediction error signals in childhood attention-deficit/hyperactivity disorder - 電脳ラボ

強化学習ベース(SARSA)。

 

Smith (2005)

強化学習ベース。

ドーパミンがD2受容体を介して時間割引を上げ、阻害すると下がる。

(Robbinsの実験では枯渇しても下がらない?)

 

 

 

パーキンソン病

Frank (2004) 

強化学習ベース。

NoGo信号の亢進により、NoGo学習(悪そうな選択肢を避ける)は捗るがGo学習(良さそうな選択肢を選ぶ)は捗らない。

2004年のScienceの論文にはモデルの詳細は書いてない。(Suppementにも書いてない。)

2005年のJ. Congnitive Nuroscienceに書いてある。

詳細は未読だが、強化学習と言ってもトリシナプティックな可塑性を考えているのではなく、D1とD2がそれぞれ線条体の発火を促進・抑制し、皮質ニューロンとのヘブ則で結合を更新してるっぽい。 

 

 

〈トゥレット症候群〉

この話題単独で論文にしたのか分からないけど、Maia (2011)でFrankが、Frank (2004)のパーキンソン病モデルと逆に、Go信号の亢進により、Go学習(良さそうな選択肢を選ぶ)は捗るが、NoGo学習(悪そうな選択肢を避ける)は捗らないと書いている。

 

 

〈作業記憶〉

疾患というわけではないが、作業記憶へのドーパミンの 関与についてDurstewitzが何本か論文を書いてる。

PFCのニューロン活動にドーパミンの効果を加えたら安定化したという話。

1999年の論文はintegrate and fireで、2000年がHH。